ウェットマウント (wet mount)とは

ウェットマウント(Wet Mount)は、生物学や顕微鏡学などの分野で使用される、生きた試料を液体の中に固定して顕微鏡下で観察するための手法です。ウェットマウントは、試料を液体(通常は水または試料固定液)に浸し、カバーガラスまたは蓋スリップで覆い、密閉してプレパラートを作成します。

ウェットマウントの目的は、生きた試料を顕微鏡で観察することです。生物の細胞や組織は、通常、生理的な状態で観察する必要があります。しかし、生物試料は乾燥すると変性や変質が起こり、正確な観察が困難になることがあります。ウェットマウントは、試料を液体中に浸し、生きた状態で維持することで、試料の形態や機能をより正確に評価できるようにします。

ウェットマウントは、以下の手順で行われます:

  1. 試料の準備: 試料を適切な液体中に浸します。液体は、生物試料の生理的な状態を保つために適切に調整されます。例えば、水中の生物は通常、生理的な塩類濃度のバッファーソリューション中に配置されます。
  2. スライドの準備: 顕微鏡スライドの上に試料を配置します。試料がスライドに均一に広がるように注意します。
  3. カバーガラスまたは蓋スリップの追加: 試料の上にカバーガラスまたは蓋スリップを慎重に配置します。これにより、試料が液体中に包まれ、密封されます。
  4. 液体の除去: カバーガラスの周りの余分な液体を吸い取るか、布やティッシュペーパーで軽く押さえます。ただし、試料を圧迫しすぎないように注意する必要があります。

ウェットマウントによる試料の観察は、生物学や医学の研究で広く使用されています。この手法は、細胞の形態や機能、組織の構造、微生物の動態など、さまざまな生物学的プロセスの観察に役立ちます。また、ウェットマウントは、染色や蛍光標識などの追加的な手法と組み合わせて使用されることもあります。

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